BLASTの「Resonance」が嫌いだった
バンドやろうぜ!というスマートフォン向けアプリゲームがある。
何の変哲もない音ゲーアプリである。
今からスマホにこのアプリを入れている人の方がわかりやすい話をするが、面倒だったらYouTubeでプレイ動画を見てみてもいい。
主人公たる4バンドのうち、今回はBLASTの話をする。
ぶらすとではなくぶれいすと、男子高校生4人組のバンドだ。
彼らの曲に「Resonance」というものがある。メインシナリオ第1部の最後に追加される恒常楽曲だ。
私はそれが嫌いだった。エンディングテーマのように思えたからだ。
私は基本的にゲームは楽しむものだと思っている。だから悲しかったり辛かったり重かったりするゲームはなるべく避けて生きている。
バンドやろうぜ!は、基本となるストーリーはそれなりに重いものの、1章(5話)でハッピーエンドで解決するし、イベントのシナリオではかなり暴走して色々なキャラクターが変なことを口走る。
真面目な部分と面白おかしい部分のバランスがいいから続けられているのかもしれない。
話は戻って、BLASTのメインシナリオは基本的に週刊少年ジャンプに載っていそうな王道熱血系だ。楽曲は熱く激しいものやメッセージ性の強いものが多い。
Resonanceは、どちらの要素も併せ持つ楽曲だった。
私はそれを聴いた時に寂しくなった。BLASTの物語が終わってしまうような気がしたからである。
バカみたいに前向きで、でも冷静に状況を判断できる東雲大和。音楽に対して真剣で、真剣さ故に傲慢で猪突猛進な巻宗介。なんでもそこそこできる器用さを持ち、聡明で狡猾な佐伯翼。家族がおらず、BLASTが居場所だという白雪徹平。彼らの話はここで終わりだよ、と言われた気がした。
聴いていて寂しくなる音楽を、わざわざゲーム内で聴くことはない。私はResonanceをプレイしなくなった。
ところが、ここで私に転機が訪れる。
バンドやろうぜ!が4/1に開催したライブ「春∞宴(炎)」のチケットが当たったのだ。
BLASTともう一つ、キラキラしたパフォーマンスが特徴のバンド、Fairy Aprilが参加するライブだ。
私はもともとアイドルゲームのオタクなので、バンドの女たちに刺されないかとビクビクしながら片柳アリーナに足を踏み入れた。
私はMCや曲順を覚えるのがひどく苦手な人間だ。だからResonanceの前に東雲大和役の生田鷹司さんが何を言ったかも、初めて聴いた2番以降の歌詞も、覚えていない。
それでも、生で聴いて、何かが変わった。
Resonanceはゴールではなくスタートの歌だと思うようになった。
理由はよくわからないけれど、誰にでも生で聴くと価値観が変わる曲はあると思う。
それは一般的なバンドの曲でも、私のように2次元ジャンルの曲でも、アイドルの曲でも有り得る。もしかしたら、クラシック音楽が当てはまる人もいるかもしれない。
音源だけでものを判断するのは、少しもったいないかもしれない。ちょっとでも気が向いたら、そしてお金と時間があったら、改めて聴いてみるのもいいんじゃないだろうか。
私はこれからResonanceのクリア回数をまずは10にしようと思う。Resonanceと、向き合い直してみたい。
ただあのオレンジノーツとは一生和解できる気がしない。